「お友達が本を出版されたので、ご夫妻をお招きして濃茶と薄茶をさしあげたい」 と山形様から予約をいただき、昨日開席しました。
「報道の自己規制」という本を上出義樹(カミデヨシキ)様が、リベルタ出版から上梓されたお祝いです。
出版のお祝いということで、香合に染付の巻子を使いました。文書つながりで、出版=巻物というわけです。席をあらためて、薄茶の蓋置には、七人の目の見えない人が手をつないでいる彫刻を使いました。それが、象牙に彫られていることから、「群盲撫象」の寓話を表していると考えたからです。真実の多様性や、本質をつきとめることの難しさを表す蓋置は、ジャーナリズムを研究されている上出様の席にはぴったりと考えました。
床の、小堀遠州侯の「書捨ての文」(小堀宗通先代家元書)や、濃茶で使われた縄文土器の茶入れなど、さまざまな道具についての会話など、とても楽しい席を作り上げていただきました。主客あいまって「一座建立」が成り立つことを痛感いたしました。